散々報じられていますが、歌手の安室奈美恵さんが引退する際のコンサートに、療育手帳が身分証明書とは認められず入場を断られた方がいます。
引退してしまったので文字通り取り返しがつかない対応でした。
安室さんコンサート:療育手帳で入場断られ… (毎日新聞) – LINEアカウントメディア(消えていたらこちら)
このニュース記事では「国会議員が厚生労働省に対応をただすなど、問題は広がりを見せている。」と書かれています。
なお、以前にも精神障害者手帳でNGだった人もいて、これは5月にツイッターで拡散されていたと記憶しています。
安室奈美恵ライブ、障害者手帳提示のファン入場拒否か…チケット会社「確認を進めている」 | ビジネスジャーナル
このようなことがなぜ起きるかというと、障害者手帳の種類が3つもあることと、都道府県ごとにデザインが異なるため対応する側が心当たりが無い手帳が出てしまうためと思われます。
それから、手帳に貼る写真が古いままの場合があり不審に思われることがあるための可能性もあります。
身体障害者手帳に貼付されている顔写真が古くなったことを理由に手帳の再交付が可能であることを周知してほしい – 総務省
精神障害者の手帳は写真を貼らないことも可能(交通機関に提示しての割引は受けられない)ですが、これだと「写真が貼ってある身分証明書」に該当せずに、条件の谷間に落ちて蹴られるということも起きていそうです。
健常者は驚くほど障害者手帳について知りません。
それもそのはず、義務教育でちゃんと教わったり、社会人の新人研修で習わないからです。
家族や友達など近しい人にいない限りは、自分から興味を持って調べない限り何も分かりません。
例えば、交番のお巡りさんも手帳のことをよく知りません。
私は精神障害者手帳を落としてしまったことがあり、交番に遺失物の届けをしました。
どこでどのようなものをいつごろ紛失したのかを伝えたところ、PCに打ち込んで出来上がって来た文書には「身体障害者手帳」とありました。
はぁ?精神障害者手帳って言ったよね?聞いてなかったの?
と言いたくなるところを飲み込んで「障害者手帳には3種類ありまして、そのうちの精神なんですけど」と言いましたところ信じられないようなことが分かりました。
そのPCで作成する文書の元ネタに3手帳のうち身体障害者手帳しか選択肢に無いようなのです。
そんな馬鹿な!並び順が狂っていて別のところに選択肢があるのでは?と思いましたが無さそうでした。
仕方無いので身体障害者手帳ということで届け出をしました。
拾って届ける人にも、受け取るお巡りさんにも区別がつかないのでしたら、表記にこだわる意味はありません。
このように、市民を弱者を含めて守って下さる立場の方もよく知らない障害者手帳。
3種類あるということも知られておらず、カバーの色や大きさもまちまちで、難易度が高いのは分かりますが、そんなに難しいことなのでしょうか。
やはり、義務教育か高校までにきっちり教えるべきと思います。
最近の教育事情については詳しくないのでネットで調べてみましたが、どうも理科や保健体育では教えていないようです。
学校で人体について何を教えているか – 日本生理学会
私自身も、身体障害者は小学生の頃から知っていましたが、知的障害と精神障害について正しく理解したのは自分が精神病に罹患してからです。
知的障害と精神障害の区別がついていない人も世の中にはたくさんいます。
障害者は一定の割合で必ず生じます。それをゼロにできるほど科学や医療はまだ発達していません。
必ず存在する人間について、どうしてちゃんと教わる機会が無いのでしょうか?
なお、ボードウォークは8月26日に既にお詫びを発表していますが、「極めて多数のお客様を短時間に入場させる必要のある大規模コンサートにおける本人確認作業になじまないとの判断に基づくものでした。」という表記があり、判断基準がそもそもおかしいことが分かります。
指定身分証による本人確認作業に関するお詫びと今後の取扱いの変更について | NEWS | BOARDWALK | 株式会社ボードウォーク(消えていた場合はこちら)
なじむかどうか、ではなく、障害者に合理的配慮をすることは法律で定められています。
コンサートチケットは高額かつ大人数で莫大な売上があがっているはずです。
どんなに高くてもファンは買うので、追加対応要員の人件費が必要であれば上乗せすればいいだけなので言い訳はできません。
今後のコンサート運営会社選定には、障害者に合理的配慮ができるというチェックポイントを設けて基準を満たさなければ発注しないように業界全体として変わっていくことが必要でしょう。
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